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皆さんは「丼(どんぶり)」という言葉を聞いて、何を連想されますか?

丼は「井戸のなかに落ちた物が発する音」に由来する読み、「井戸のなかに物を投げ込む様子」から成り立つ漢字といわれます。
うつわの名称として「丼鉢」のことを指す場合もあります。しかしこれは、日本だけです。




ご飯や麺類を入れるときに使用する厚手で深さのある形をしたうつわ(陶磁器、漆器など)のことを指します。
ご飯におかずを載せる親子丼や鰻丼、出汁をかける蕎麦などは、いわゆる「ぶっかけ」江戸時代から始まった庶民の気取らない食事、ファストフードです。

前回ご紹介した「豆皿」を用いる、主食とおかずを別々に戴くスタイルとは真逆です。

中華料理に天津飯、台湾では魯肉飯など、他国にもぶっかけ飯はありますが、日本ほどメニューのバリエーションはなく、もちろん丼鉢は使いません。

調理も食事も、片付けまでもスピーディ。

一碗で栄養も摂れて合理的。和食の発明の素晴らしさを感じながら、今回はいろいろな丼鉢をご紹介いたしましょう。
 








沖縄のことをアジアだなぁと感じる瞬間は、食文化の違いを発見したときです。
沖縄ソバを食べる「ソバマカイ」は、「ソバのお碗」のことを指します。
うちなー(沖縄)の陶芸家は、丼鉢という名前では作りません。
写真の「ゆし豆腐ソバ」は、ソバに島豆腐がぶっかけになった沖縄ではポピュラーなメニューです。
初めて食べたときは衝撃でした。
麻婆丼という食べ方がありますが、味付けしていないおぼろ豆腐を麺に絡めて食べるのは不思議でした。
しかしながら、豚の出汁を吸い込んだ島豆腐、これが素朴で美味しいのです。












写真を並べると、形の特徴がよくわかります。
大きく広がった口縁、浅く平たい胴体、しっかり立った高台。幅は6寸(約18cm)高さは3寸(約9cm)くらいが標準です。
「重ね焼き」とよばれる、高台の部分が重なる部分の釉薬を丸く拭い取って、窯の中で積み上げて焼く跡が見えるマカイもあります。
口縁の内側に唐草模様などが描かれたデザインは、盛り付けすると映えます。ご飯ものに使ってもいいですね。
 
 






















今度は深いデザインの丼鉢を見ていきます。

一般的な本州の丼鉢といえば、口縁は広くても狭くても「切立ち(きったち)形」という直線的で深さのある形が多いと思います。
料理が冷めにくく、関西のように出汁を含んだ麺を食べる出汁の食文化がある地域は、たっぷりと入る深い丼鉢が適しています。
沖縄の作家のマカイでは珍しい神谷理加子さんの青い魚模様の丼鉢。見た目よりもたくさん入りますので、麺も煮物も美味しそうです。
 
 
 
 







雪が降るような寒い日は、もっとアツアツで食べたい!という方に、こんな丼鉢はいかがでしょう?

信楽の「なか工房耐熱ラーメン・ビビンバ鉢」土鍋とおんなじ土の成分で作られていますので、直接火にかけて調理できます。(IHは不可)色もきれいですから、食卓でそのまゝ召し上がって頂けます。

保温性に優れていますので、本当にやけどに注意!
 




私は日本のうつわのカタチの祖になっているのは、古の木のうつわ、漆器だと考えています。
蓋付の汁椀が持つ格調高いデザインは和食の膳での花形です。

蓋が付くことで全体のバランスが決まりますし、保温性とともに蒸らして美味しくなる一工夫もあります。
最近はサランラップの普及であまり使われなくなりましたが、店屋物の出前というと蓋付の鰻丼、親子丼、木の葉丼などが定番メニューでした。

それより何より、蓋を開けた瞬間に広がるできたての香りと、蓋を開けるまで想像力を掻き立てる視覚的効果。
一目瞭然なことは良いこと。

でも、少々謎めいた部分があったほうが愉しいこともあります。