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大分県日田市小鹿田焼・うつわの装飾ご紹介

 
まずはご覧ください。
尺二寸(約360mm)もの大皿です。

小鹿田で採れる陶土で成形し、登り窯焼成すれば、
おおよそ20%縮むといわれます。
ということは、1.2倍の大きさでろくろ引きした皿に
装飾を施さなければなりません。
これはかなりの大仕事です。




前回でもご紹介したように、小鹿田焼では成形した陶土を
素焼きしません。素焼きというのは、自然乾燥させた生地を
800°Cくらいの温度で釉薬をかけずに焼く、1度目の窯焚き
のことです。

1度焼くことで丈夫になり、釉薬の吸収率も高まって、
最後に窯焚きする本焼きの失敗を防ぎます。
 



なぜ成功するとわかっていることを、みすみすあえて実践しないのか?誰しもそう思われるでしょう。
陶器を焼くための窯は、電気・ガス・灯油などがありますが、最も部率が悪いのが登り窯です。

これは私の想像ですが、小鹿田焼の伝統的な装飾法を生かす
ため、生地は素焼きをしない生乾きでなくてはならない。
それが理由ではないかと思うのです。

そこで、代表的な技法の例をご紹介します。
 
 

飛び鉋

 
【飛び鉋(かんな)】

時計のゼンマイ部分に使うしなりのよいパーツを加工して、L字型金属の刃に加工したものを、ろくろ台の回転と反対方向に向かって当てるようにして、生地の表面を細かく斫っ(はっ)ていく。(昔の職人は全て自分の道具を工夫して作った。)

予め生地の上から白化粧とよばれる白い泥漿(でいしょう)が掛けられているために、斫り取られた部分は、下地の色がむき出しになるので凹凸が白と黒の陰影を作り、立体的な装飾効果を生む。

小石原焼でも同様の技法で飛び鉋を施すが、
陶土の性質が小鹿田の方が粒子が細かいので、
小鹿田焼のほうが鋭い切り口になる。
小石原焼「飛び鉋3.5寸小鉢」

櫛目描き&指描き

 




【櫛目描き】

生地に施す白化粧が柔らかいうちに、竹串や金属や木製の櫛状の道具を当てて引っ掻き、平行線、波線のような装飾を下地のみえた凸凹で表現する。

【指描き】

指先を使って白化粧をなぞって模様を描く。

打ち刷毛目&流し掛け

 
【打ち刷毛目】

ろくろを回しながら、滑らかな白化粧を含ませた刷毛を
一定間隔で押し当てて模様をつける。
各工房の壁には、手のひらの入るほどの刷毛~顔の大きさも
あるような、大小さまざまな刷毛が並べて吊ってあるのが見られる。


【流し掛け】

本焼き焼成する前に、釉薬を柄杓で当たりをつけて流し掛け、
自然に溶けた模様が無作為にでるところに装飾の面白みを生む技法。

「打ち刷毛目、目、流し掛けの技法が施された大皿」

2色の釉薬の流し掛けと飴釉掛けの「うるか壺」
「うるか」は夏獲れた鮎を塩辛にした保存食。
うるかを入れるための壺は、小鹿田地方で昔から伝わる容器。

リーチハンドル

 
リーチハンドル

イギリス人陶芸家バーナード・リーチ(1887-1979)は、
民藝運動の良き理解者であり先導者でもあった。
昭和29年(1954)小鹿田に約1ヶ月滞在し、陶工たちと交流を
持った。そのとき、飛び鉋や刷毛目などの技法を学び、自らはイギリスの陶芸技法スリップウェア(化粧土の絞り出し描き)やピッチャーのハンドルのつけ方などを指導した。
 



日本は元々湯呑み茶碗文化であったため、ハンドルの付いた
カップの類は存在しなかった。輸入品を想像で真似て作るならば、先に作り置きしたハンドル型を、本体に貼り付ける方法しか思いつかなかったと思われる。まさに言葉通りの「取って付ける」である。

イギリス仕込みのハンドルは、土の適当な塊を本体の上部に付けて支点とし、そこから腕を伸ばすように引っ張り、下部の終点へ持っていく技法であった。
このハンドル付けで作るピッチャーやカップは、本体との一体感が生まれ、木の幹から枝が伸びるように違和感がないのである。

のちにこの技法は「リーチ・ハンドル」とよばれ、リーチが訪れた国内の窯場数カ所で伝授され、今も脈々と受け継がれている。